天井から水が降ってきた

ある日。自身の住む部屋のすぐ下の住人と管理会社から連絡があった。 「水漏れしていませんか?」と。 慌てて洗面所、キッチン、トイレを確認する。だが、目視しただけでは水漏れの形跡は見当たらない。 しばらくして、階下の住人と管理会社の人が我が家に訪問。立ち会いのもと、念のため全ての部屋を見てもらうが、やはり水漏れはない。 話を聞くと、どうやら階下の天井から水が漏れてきているようだ。 どこか、壁の中の配管が破損したのかもしれません、と管理会社。とりあえず、うちを見た感じでは直接何もない、とのことで管理会社と階下の人は別の部屋へ。同じように回るのだろうと思い、その時点では大変だなあ、という他人事で済んでいた。 ところが、その30分程後。 何か不思議な音が聞こえた。ミシ、ミシ、というような音。 なんとなく嫌な予感がして、音が聞こえた部屋に入る。 そこで、ありえない光景を見た。 天井の壁紙が、異様に下に向かって膨らんでいた。 部屋の中心、照明のすぐ横、壁紙が伸びきっている。膨らんでいる。明らかに、膨らんだ中に何か、いや水が溜まっているのが見て取れた。 水の入った風船が重力に負けてだらーんとなっているかのようだ。 あ、これは、だめなやつ、と思った本当に次の瞬間。 伸びきった壁紙が一瞬で破れ、裂け、予想通り中から大量の水が落ちてきた。 滝だ、と思った。本当にそんな勢いだった。 一瞬パニックになり、とった行動はまだ外で話をしていた階下の人と管理会社の人を呼ぶこと。 「すいません!うちにもきました!水!水!」みたいなことを叫んでた記憶がある。 その後は混乱しつつ階下の人の協力も得て、流れてくる水を衣装ケースで受けて捨て、の繰り返し。 数分後、なんとか水の勢いは多少おさまり、ぽたぽたといった形になる。 これは明らかにうちの上の人が原因だということで管理会社の人が上に行く。私はびしゃびしゃになったタンスや子供のおもちゃに溜息をつきながら少しずつ片付け。 そのあとしばらくして、管理会社の人に呼ばれ階下の人と一緒に上の階に行く。原因を見せてもらった。 なんと上の階の人、夫婦喧嘩で腹をたてた夫が何故か風呂の水を流しっぱなしにした、とのこと。 上の階も水浸しで、廊下や部屋にタオルでなんとかしようとした形跡があった。 故意にやったことということで、なんというか唖然とするしかなかった。 うちよりも先に下の階に水が来たのは、結局何故かはわからなかったらしい。 ちなみに、私の過失ではないものなので火災保険が降りた。が、上階の住人からの謝罪はないまま、彼らは引越した。 これが私が経験した最大の水トラブルだ。